海外視察シリーズ カンボジア金融事情 2015.03~

2015.03.26(木)-03.30(月) カンボジア金融事情視察レポート 
❏はじめに
今回のカンボジア訪問の目的はいくつかありましたが、その一つが、カンボジアの銀行に、高金利USドル預金口座を開設することでした。以下、カンボジアの金融事情を中心にレポートします。
 
カンボジアへは直行便がありません。いくつかのルートがありますが、今回は韓国インチョン(仁川)経由で行きました。インチョンのトランジットは成田発12:30、カンボジアプノンペン空港着23:00でした。時差2時間を加えると、12時間半の長旅です。「
❏カンボジアの経済事情

 カンボジアには「リエル」という現地通貨がありますが、実態は完全なUSドル経済です。値段の表示は基本的にUSドル表示です。

USドル紙幣が普通に流通していますが、アメリカのコイン(セント)は使えません。仮にお店で1.5ドルの買物をする場合、ドルではおつりが出ません。2ドルを渡すと0.5ドル分として2000リエルが渡されます(1ドル=4000リエルです)。

リエルにも硬貨はありませんので、カンボジアでは小銭入れは不要です! 

カンボジアの経済成長率は近年7%程度で安定しています。もともとは農業国ですが縫製業(輸出)を中心とする第二次産業の発展に加え、観光・不動産等の第三次産業が好調です。依然として貿易収支は赤字ですが、対外直接投資、観光収入等により総合収支は黒字です。カンボジア国債の格付はBで、ギリシャと同程度です。ちなみにお隣ベトナムはBB- タイはBBB+です。

 ❏カンボジアの銀行 

カンボジアには銀行が50行程度あるようです。その殆どが外資で、最大手のアシレダ銀行の筆頭株主は三井住友銀行です。また、2位のカナディア銀行は三菱東京UFJ・みずほ両行と提携しているようです。プノンペン商業銀行(PPCB)はSBIの40%出資、マルハンジャパン銀行は、日本の大手パチンコ業の系列です。
 
少しデータが古いですが、カンボジアの主要銀行の2013年の総資産規模ランキングを載せました。(単位:100万リエル) 

 ❏銀行口座の開設

 今回、PPCBとアシレダ銀行の2行に口座開設を行ってみました。まず、PPCBについてレポートします。PPCBは、プノンペン一の高層ビル「プノンペンタワー」内にジャパンデスクがあります。日本人の若い女性が行員として常駐しており、手続はすべて彼女が行ってくれますので、言葉の心配は要りません。ちなみに日本語のHPもあります。口座開設に必要なものはパスポートのみです。写真も要るようでしたが、その場で撮影してもらいました。

 口座の種類は普通預金と定期預金。普通預金は100ドル、定期預金は500ドルが最低預入金額です。普通預金の利率は年1.2%です。定期預金は期間によって利率が異なりますが、1年定期だと年6.0%です。自動継続にしておけば、1年後に元本+金利で新たな定期に書き換えられますので、複利で増えていくことになります。金利を受け取って同額の元本を継続することも選択できます。ただし、金利から源泉税(非居住者の場合14%)が控除されますので、実質手取りは年5.16%ですね。  

  

預金通帳と定期預金証書はその場で発行されます。キャッシュカードもありますが、発行は約2週間後になります。本人が銀行に行かないと受取れないこと、6ヶ月以内に受け取る必要があること、という制約があるので、今回はキャッシュカードの発行は見合わせました。キャッシュカードが欲しい場合は、次回カンボジアに行く日程が決まった時点で日本からメールでオーダーを出しておく、という手段で対応できそうです。ただし、PPCBの店舗は10店舗ほどで、自行ATMでしか使えないので、キャッシュカードの利便性は今ひとつかもしれません。カンボジアのATMで現金を引き出したければ、日本からVISAデビットカード(例えば、スルガ銀行のキャッシュカード)を持っていけば事が足りますね。

 

 

 

日本にいながらカンボジアの定期預金を増額したい場合は、普通預金口座に必要金額を送金し、それを定期預金に振り替えてもらう、という流れになります。定期預金への振り替えは、メールによる指示でOKです。

 次に、アシレダ銀行についてレポートします。
アシレダ銀行は、国内最大手だけあって、支店も400ほどあるそうです。今回は、現地でコンサル業を営むSARYさんの案内で、彼が懇意の支店を訪問しました。アシレダ銀行の場合、非居住者の口座開設のハードルはPPCBに比べて高いです。現地住所の証明などを求められます。今回はSARYさんの事務所を登録住所とさせていただきました。1年定期の利率は年5%です。口座開設は10ドルから可能です。店舗数も多いので、現地での生活口座として利用する場合には利便性は高いと思いますが、単なる貯蓄目的であれば、日本語が通じないことによる手続のわかりにくさや煩雑さを考慮すれば、まずはPPCBのほうがお勧めの感じですね。 

アシレダ銀行には、系列のアシレダ証券があります。カンボジアの上場企業はまだ2社らしいですが、今後徐々に増加し、証券マーケットもいずれ活況になることでしょう。将来的にカンボジア株を買うかも、という方はアシレダ銀行の口座を持っておくことは有意義でしょう。
 
❏金利とリスクの考察

 普通、発展途上国の金利が先進国に比べて相対的に高いことは容易に理解できます。カンボジアにおいて、「レアル」の金利が高いと言われれば特に疑問は感じません。ではなぜUSドルの金利も高いのでしょうか。これは冒頭にも記載したように、カンボジアの経済がUSドル経済だからです。カンボジアでは、通貨の流通量の80%以上がUSドルだと言われています。当然、銀行の調達も殆どがドル建てです。カンボジア人の貯蓄性向は低く、高金利を付けないと預金が集まらないので、必然的にレアルに加えてUSドルにも高金利を付けざるを得ない、というのが実態のようです。但し、私が調べたところ、カンボジアの銀行すべてが高金利であるわけではありません。アシレダ銀行の起源はマイクロファイナンスのNGOである、ということもあり、恐らく運用は小口、高金利の債権と思われます。高い金利で運用できる銀行は、相対的に高い金利を付けてでも預金を調達したい、という意図が働くのだと思います。

 カンボジアの銀行預金の安全性はどうでしょうか。当然、USドル建てであれば、為替リスクは新興国通貨に比べると格段に低いし、流動性も全く心配ありません。問題は、カンボジアのカントリーリスクですね。銀行が倒産した場合、日本のように預金保険は効きません。

 ❏次回に向けて 

BFCA経営財務支援協会では、今回の体験を基に、カンボジアにおける銀行口座開設サポート&資産運用アドバイスプログラム(有償)を策定し、現地への渡航を当面、年2回程度行う予定です。今回の視察に予定が合わなかった方、高金利の資金運用に興味がある方、奮ってのご参加お待ちしております。

 

 ❏番外 

プノンペンから車に揺られること5時間、そこには、ここがカンボジア?とわが目を疑うようなビーチリゾートがありました。 
シアヌークビルです。 私が観たアジアiPadのビーチの中でナンバーワンです。プノンペンから5時間は遠すぎますね。
文責・杉田利雄 sugita@kaikei-web.co.jp

❏視察レポート動画化 (Youtube

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