過去のメールマガジンNo.31~40
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◆執筆者紹介◆

山本広高
(BFCA経営財務支援協会 取締役)
群馬大学工学部大学院卒業後渡米し、フロリダ国際大学にてMBA取得。
外資系コンサルティング会社にてERP導入などITコンサルティングに従事。
退職後、経営財務支援協会取締役、株式会社THINCESS代表取締役に就任。
大企業から中小零細企業まで規模、業種を問わず、事業計画策定や、
サービス開発のプロジェクトに携わっている。

望月徹
大手金融機関で法人融資部門、企画調査部門、業務開発部門等を経験。
この間、中央官庁、米銀本店勤務の出向経験もある。
大手金融機関を辞した後、総合商社系コンサルティング会社で事業成長支援、
事業開発支援に取組み、現在は、事業再生や事業成長支援のコンサルティング活動に従事。
CFPR、日本証券アナリスト協会検定会員、行政書士、宅地建物取引主任者。

◆マネージメント教育 2◆vol.040   2015/10/30
執筆者 山本広高
 
前回のメルマガでは、中小企業のマネージメント教育における役割と責任の明確化について書きました。
 
今回は
2.異業種コミュニティへの参加について説明したいと思います。
 
一言で異業種コミュニティへの参加といっても、様々なジャンルがあります。
3種類検討してみたいと思います。
 
 
①クラブ
地域における名士と呼ばれる方々が集うライオンズクラブやロータリークラブ。
こういった国際的な社会奉仕団体への参加が考えられます。この2クラブは、日本全国に地域会が設立されており、社会奉仕活動が目的の一つとされます。参加者は社会的地位の高いい方々が多く、ネットワークの拡大としては価値あるものと考えます。
私どものBFCAでもキリン倶楽部という異業種交流会を開催しています。
 
他にも昨今ではBNIと呼ばれる1業種1人という縛りがある会が有名です。
その他、朝活を中心とした倫理法人会など異業種コミュニティは数多く存在しています。こうしたコミュニティへの参加は、経営者にとって様々な発見や見識を得るチャンスです。大いに活用したものです。
 
②研修
巷には、銀行や信用金庫、各種専門分野コンサルタントなどが開催する様々な研修会があります。この中には、コストパフォーマンスに優れた研修も多く、期待以上の高付加価値を提供する研修も多く、管理職候補の人材育成に役立ちます。
 
こういった研修を活用する企業も多いと思います。
しかし、レポート1枚書かせていますか?
受講させっぱなしになっていませんか?
 
お勧めするのが、“研修の内製化”です。
受講した研修は必ず受講者が内容を理解し、今度は社内で講師として社員を教育する立場に置く。そして今度は社内で受講した社員が講師として他の社員を教育する。この循環によって、外部で受講した研修が社内活動に落とし込まれます。
管理職候補の人材にとって、INPUTだけでなく、OUTPUTも含めて学ぶことができるのです。
 
③大学
社会人MBAが流行っています。大企業の中堅クラス、将来起業したいと考える30代、40代が集まる社会人のための経営学を学ぶ大学院をMBAと呼びます。前述の研修と大きくことなるのは、クラスメートとのコミュニケーションです。
様々な分野・業種のクラスメートとプロジェクトをこなして学ぶことにあります。
 
大学院ですので、学費も高額である上に、授業時間も少なくありません。
管理職候補がが学習と本業(就業)の時間配分に悩むというデメリットもあります。
しかも、MBAで学んだことを活かして他社で働くことを選択する可能性も否めません。
 
しかし、“多様性を学ぶ”、という点において大学ほど分かりやすい環境はないので、最後に選択肢として入れました。
 
 
労働人口は今後も減少が続きます。この様な労働環境の中においては、外部からの
人材の登用は難しくなる一方です。対案としては、社員にキャリアパスを作り、社内人材の能力を伸ばし、いずれは管理職になってもらう“人財活用”が鍵となってきます。
そのための鍵となる施策に、多様性のある人材の発掘・教育があります。
 
次回は心理的なアプローチについて説明します。

◆経営承継の成否について◆vol.039   2015/10/9
執筆者 望月 徹 
 
中小企業の事業承継の話題は、創業経営者の年齢上昇もあり、花盛りの状態にある。
各種の事業承継関連セミナーが商工会議所等公的機関、また、士業事務所、コンサルティング会社主催で数多く開かれている。
 
筆者が関わっている2つの事例を対比して、事業承継というよりも経営承継の成否を抽出してみたい。30事例以上のサンプル数を取ってのデータ分析ではないので、一般化できるとは限らないことは予めお断りしておく。
 
食品製造業という同業種、同規模(年商15億円)の企業が2社。
A社は承継に成功しつつあり、B社は承継に失敗しつつある。
A社経営陣は、社長(父)、専務(息子)。
B社経営陣は、社長(父)、専務(母)、常務(息子)、取締役(社員からの昇格)。
 
両社の共通点(金融取引)は多い。①銀行取引(複数行)、メイン的銀行の存在、
②社長は連帯保証人、本社・工場には抵当権設定、息子は連帯保証人でない、
③銀行折衝は社長。
 
金融取引以外の共通点も少なくない。①既存事業は社長が中心、②新規事業は息子中心、
③親(60代)、子(30代)間のコミュニケーションは微妙。
 
B社は、社長が営業、専務が経理・総務、常務が開発及び新規事業、取締役が得意先統括として社長補佐、と理想的なレクトアングル(四面体)な組織構成であった。
それにもかかわらず、なぜB社が失敗しつつあり、A社は成功しつつあるのか。
 
私なりにその違いをみていくと、次のような事象がある。
①売上高を手堅く取りにいったA社、急ピッチで取りにいこうとしたB社
②新規事業を本業の補完で進めたA社、新規事業を本業に代わるものとして進めたB社
③体力のある中小の企業と連携し共同事業に仕上げたA社、大企業と連携し
  そのブランド力を活用しようとしたB社
④総務・法務リスクへの理解が深いA社、総務・法務リスクへの備えが浅いB社
 
現在進行形の事例につき箇条書きに留めるが、経営承継の成否につながる背景・要因がそこはかとなく見えてきている気がしている。何がしか読者の参考になれば幸甚である。

◆マネージメント教育◆vol.038   2015/10/2
執筆者 山本広高
 
中小企業が抱える問題の一つに人材の確保があります。大企業は、人材の確保に十分なコストを掛けることができる。従って新卒、中途を含め人材確保は問題ないかのように見えます。
しかしながら多くの中堅・大企業企業で”管理職”の育成に関して問題を抱えているようです。
 
中小・零細企業は、社長以外の社員の実態的な階層は、ほぼフラット、という形態が多い。ほとんどの議決権(株式)を社長が掌握し、実務面でも最高執行者として振る舞います。
絶対権力者、権利の集中者ですのでこの状況は仕方が無いものです。
 
こういった中小零細企業、中堅大企業の人材確保、組織運営に大きな差がありますが、共通する課題もあります。
企業の大小を問わず、多くの企業が抱える問題に「リーダーの人材確保と育成」があります。“リーダーに必要な条件”、“リーダーとは何か”といった概念を論じた書籍世数多く出版されているようです。
 
ここでは、概念規定ともかく“リーダー”をどう育てればよいか、という論点(アイデア)に絞って筆者の経験から説明します。
 
まず、筆者は人材育成において、大別して3つのアプローチが必要だと考えています。
 
1.役割と責任の明確化
2.異業種コミュニティへの参加
3.心理学的アプローチ
 
今回のメルマガでは1について論じます。
正直、人事評価制度があっても”機能している”と言える企業は少ない、というのが現状ではないでしょうか。
また、個々の人材に対してに役割と責任範囲を明確に伝えている企業は多くはないと思えます。
 
一般的には課長から管理職と呼ばれる立ち位置になります。
管理するのは、係長はじめ、チームメンバーの仕事、作業負荷だけではありません。予算管理、クライアント管理も含まれるでしょう。部長になれば、複数のチームを統括する立ち位置になります。
それぞれのチームが機能しているか、課長からの報告を元に状況判断が迫られます。
 
管理職と言えども立場によって役割と責任範囲は大きくことなります。
この役割と責任範囲の定義がきっちりできれば、
人材育成はスムーズになります。云わば日常業務が人材育成をしてくれます。
 
例えば、管理職者は「現状の仕事はどういう価値を持っているか」を日頃丁寧に伝えます。その上で部下に対して、”今の仕事はXXXだが、どんな仕事をやりたいのか”と指示し問います。
結果、部下は目的を理解したうえで今日の仕事と言う課題に取り組みます。
 
また、今日の課題だけでなく変化する未来ねの対応も指導します。“今の仕事は無駄”だと感じている部下に対して、“業界を知る”、“仕事のやり方を覚える”、“異文化の人間とのコミュニケーション”といった目的や目標を伝えていきます。
 
管理職者は、日々の業務に追われがちだが、育てたい部下との個人面談を行い、ゴール、目標設定を行い、その到達度合を上司と部下が共有しなければなりません。
 
現在筆者が指導するのクライアントでも導入しました。
面談を行い、
①役割と責任範囲を明確化して伝える
②評価に繋がることを理解してもらう
③定期的に行う
ということを実行し、ルーチン化します。
これが確実に実行できるチェックリストも用意します。
 
管理職、もしくは管理職候補であれば、部下を評価する立ち位置にいることになります。部下を評価するだけでもリーダー研修のOJTとなり得ます。
 
しかし、人事評価と掌握これだけでは、不十分です。
部下の中には、「今の仕事をしていればいいんでしょ」
「言っていることはわかるけど、できない」
といった者もあらわれます。
彼らは指示に対して様々な反論や、できない理由を並べます。
次回以降では、そのためのアプローチである2番と3番について説明します。

◆企業倒産の減少に鑑みて◆ vol.037 2015/9/11
執筆者 望月 徹 
 
東京商工リサーチ(以下、単にT社という)の最近の発表によれば、15年8月の企業倒産件数(負債総額10百万円以上)は、前年同期比13%減の632件と5カ月連続で前年を下回った。
8月としては1990年以来25年ぶりの低水準だったという。
産業別に見ると全10業種のうち6業種で倒産件数が前年を下回った。
建設業は14カ月連続、小売業と運輸業は5カ月連続で減少した。
 
景気が回復基調であることに加え、金融機関が中小企業の返済計画の変更要請に柔軟に対応していることが背景にあるとは、T社の見立てであるが果たしてどうか。
財務コンサルタントとしての現場実感でも、顧問先はもちろんのこと、その取引先等でも倒産は減っている(ないわけではないが)。 
 
一つは、金融機関の姿勢にあると考えられる。その意味ではT社の指摘通りである。しかし、もう少し内実をみると、実相が見える気がする。
まず、金融円滑化法の施行以降には厳しい姿勢が強まると見られたハードランディングを回避する傾向にあるのは、ある金融マンの言葉に集約される。
「過去には業績も良く金融機関としても儲けさせてもらったがいま構造的な不況業種だからといって厳しい態度を取っていたら管轄域内の融資先の大半が対象となる。後継者もおらず、経営者の生活もかかっているとなると、そう簡単には右から左というわけにはいかない。」
 
次に、日銀成長資金融資である。財務基盤が弱いところであっても、日銀資金が入ることによって、構造的な不況業種にも選択的に初取引で結構の融資額を、好条件で融資している複数事例を筆者は間近に見聞きしている。
 
もう一つ、企業倒産を減らしているのはM&Aの増加である。
きちんとしたM&Aもあれば、M&Aもどきもあるのであるが、何からの資産(いざとなれば売却可能かつ現金化可能な資産)を引当に、ノウハウ、人材、あるいは、商圏を取っていくために買収され吸収されていくことになる。
 
統計上は倒産にはならない。
 
 
水面下で企業売買を探る動きは、M&Aの専門会社の動きだけみていてもわからないほど広がりがある実感がある。この点からは会員諸氏のビジネスチャンスが拡大していると思われる。

◆クラウドソーシング◆ vol.036   2015/8/28
執筆者 山本広高
 
昨今、大きな市場になりつつあるのが「クラウドソーシング」サービスです。
簡単に言うと、インターネット上で行う仕事のマッチングです。
企業間のマッチングもありますが、多くは企業と個人(事業者)のようです。
例えば、フリーランサーのデザイナーに企業が制作を依頼するなどです。
 
クラウドソーシングの「仕事受けます」欄には、ホームページやチラシ、ポスターなどの制作やデザインに関わる方が数多く登録されています。
 
通常、チラシの制作などを企業間で依頼す時は、広告代理店が間に入ります。
ディレクションと呼ばれるデザイナーとのやり取りの管理手数料が請求されるため、価格は上がってしまいます。
 
デザイナーの方々は職人気質の方が多いのか、営業を含めた顧客とのやり取りは専門化に任せる方任せる傾向があるようです。企業間の取引では、この傾向が今も色濃く残っているようです。
 
これはIT業界も同じです。プログラマーとSEの関係は近いものがありようです。
両社の機能や役割の振り分けは、従来から必要不可欠と思われていました。
 
しかし、コミュニケーション能力が高いデザイナーの方々も居られます。
そのような方が、いわゆる直接取引を行うことで、収入拡大を図れます。
依頼する企業もコストを抑えれます。
これを実現させた仕組みが「クラウドソーシング」です。今も市場拡大中です。
 
面談打ち合わせをしなくとも仕事の受発注、納品を行うことができれば、全国どこからでも東京や大阪などの案件に対応することができるます。
プロのデザイナーの生き方そのものも変化を起こす可能性があります。
若いデザイナー数十名が過疎地に移住してクラウドソーシングすれば、街の活性化も起こせるかもしれない、などの夢も描けます。
 
筆者は最近5つのチラシデザインをLancersというサイトで依頼してみました。
18件のデザイナーの方々が、我こそは、とお声掛けしてくれました。
選ぶ軸にするのは、
①Lancers認定のデザイナーかどうか(安心)
②過去の成果物が自分のイメージと合致しているか(実績)
の2点です。
 
結果、宮城県在住の方に依頼することになりました。
納期も守ってもらえたので、非常に満足した取引でした。
価格も5万円という安さで驚きでした。
 
もちろん、見ず知らずの方に依頼するのはリスクを伴います。
相手は信頼できる人物なのか、支払ったけど、モノが届かないとか、そういったリスクを避けるため、筆者は高額の依頼は難しいと考えます。
 
Lancersもそうですし、競合のクラウドワークスというサービスもそうですが、デザイナーやプログラマーのプロフィール情報が十分でないのです。
もう少し登録者の情報を引き出せる環境が整う必要があると感じています。
 
このようなリスクを内在する「クラウドソーシング」ですが、チラシやポスターなどの制作に関しては圧倒的なコスト削減が期待できます。
自社や顧問先の販促費のコスト削減に活用してみては如何でしょうか。

◆取引先との駆け引き◆ vol.035   2015/7/28
執筆者 山本広高
 
多くの中小企業は特定の“上得意様”との取引があって事業が成り立っています。
特に自動車関連の製造業は、大企業との取引があることで事業が成り立つ。その得意先とうまく付き合うことが事業の持続性を確保できるたった一つの道、といえます。
 
このような状況下で、もし上得意から値下げ交渉があった時どのように対応するのか。要求に応じざるを得ないという弱者の対応から、言われるがままになりがちです。最悪のケースでは、赤字の取引となってもこの要求案件を取らなければ存続できない、ということもあるでしょう。
 
この場合、企業として打てる手は
①販路を開拓して新たな得意先を見つける = 売上UP
②コストダウンのための施策を打つ = 経費削減
といったことはありますが、容易なことでなく現実には難しいと言えます。
 
しかし、もう少しできること考えたい、というのが本日のテーマです。得意先が圧倒的に強い立場であったとしても、取引している相手が「何に興味があるのか」、「本当に価格だけなのか」ということ探ります。
 
読者の皆さん自身がテレビを購入したいと思い、家電量販店に行った場合を想像してください。本当に価格だけで選んでいるでしょうか。大きさや画面の映り、デザイン、ブランド、といった様々な要因があって、その上で価格を見て、それに見合うものであれば購入していると思います。
一番価格が安いから、という理由だけでは商品を選んでないこと思います。
 
得意先との取引でも実は同じことが起きていると考えられます。
強い値下げ要求があった場合には、次の点を検討しましょう。
①担当者の思惑は何かを知る
・本当に価格だけがトピックスなのか?
・性能、機能、スペックで実は自社製品しか選択がないのではないか?
 
②競合他社はどういう価格を掲示しているか
・探れる範囲で他社動向を掴み、競合の価格を調査します。
・実は競合も苦しんでいるのであれば、協働することを探るのも一つですお互いが疲弊する戦いを避けるためです。
・協働できず、真っ向から戦う必要がある場合、如何に優位性を得意先に説明できるか、というのもポイントです。
 
③これまでの経緯を見直す
・値下げ要求を受けていれば、ずっと受け続けているから追加の値下げ要求が来ているとも考えられます。そこで、過去の値下げ要求を受けてきた履歴を洗い出し、自社の負担額を算出し、これだけ得意先に貢献してきた、ということを説明します。
・度重なる値下げ要求の中で、自社のやってきた努力を説明しますもちろん納得はしてもらえないとは思いますが、話を逸らす意味でも必要なことです。
 
もちろん上述の通りにいかないことも多いでしょう。
しかし、多くの中小企業でできていないことに「情報収集」があります。
例えば、得意先担当者やその上司が会社から与えられているミッションや趣味・趣向といった個人の特性などの情報。得意先が所属している組合や団体、その団体等の目的や会合頻度など、ご存知でしょうか?
そういった小さな情報収集の積み上げからコアな情報に当たります。
こういった準備から、上得意を失うようなリスクを回避できると考えす。

◆不動産賃貸管理業の事業承継について◆ vol.034   2015/7/17
執筆者 望月 徹 
 
金融機関やコンサルティング会社が続々と事業承継の専門チームや子会社を
立ち上げている。経営者の高齢化や後継者難、また、M&A絡みでもニーズが
増していることへの対応である。
 
事業承継・M&Aのセミナーは、開催すれば大きな会場も満員の盛況である。
もっとも、聴衆の多くが支援側の場合もあるので、ディスカウントして
考える必要はある。
 
さて、不動産賃貸管理業の事業承継について、事例をご紹介したい。
大都市圏域に隣接する地域で大型の不動産を複数所有・管理している企業の
事業承継が課題となり、私がお手伝いした事例である。
 
トップが交替することになったのであるが、NO2の経営力に対して、
主力金融機関がいま一つ信用を置いておらず、将来的な債務返済に不安を
抱かれたことに端を発する。
最終的には、事業を他社に譲ることになった(M&A売却)のであるが、
そこに至るまでの過程で様々な課題に直面し、支援側も骨が折れた。
ただ、本件に特有のことではなく、おそらく多くの不動産賃貸管理業にも
共通の課題とも思われるので、どのような問題が発生したのか一部を列挙して、
参考に供したい。
 
・物件評価の問題(経年劣化に伴う評価)
・連帯保証の問題(新たに立てる連帯保証)
・譲渡側と譲受側での信用力格差の問題
・銀行ごとの対応力の問題
・共益費・修繕費の問題
・隣地・境界の問題・私道通行人の問題
・公図にある特殊な道路の問題
・建築確認の問題(建築時に遡っての調査)
・瑕疵担保責任の問題
 
次々に難題が降ってくるような経過をたどり、一時はどうなるかと思われた
案件であるが、現在は、譲渡側は賃貸管理業から撤退し、別の事業で経営を
存続している。

◆人材確保・流出抑止のための施策◆ vol.033   2015/6/26
執筆者 山本広高 
 
続く少子高齢化と団塊の世代が引退したことを受けて、あらゆる分野で人材不足が問題となっています。飲食業、運送業、ITの分野において、顕著だとクライアントから漏れ聞こえてきます。
いずれも特徴的なのが人材の流動性が高い業界です。
 
飲食業はあまりの人材不足から都市部では人件費が高騰しつつあり、都内では時給1000円以上は当たり前、深夜帯であれば、1300円、1400円台も見ることがあります。それでも人が集まらず、24時間営業を断念したり、閉店を余儀なくされる店舗も存在します。
 
運送業はいわゆるドライバー不足が深刻です。それでも市場が回っているのは、現在勤務しているドライバーが休日出勤や、残業によって無理をしているからなのでしょう。もしくはドライバーの多能工化が進み、事務仕事や管理職を行うことで、不足を補っていると考えらえます。ドライバーの低賃金、長時間労働という過酷な状況からこういった現象が起きていると考えられます。
 
IT業界はIT土方や3K「きつい、厳しい、帰れない」というように揶揄されるくらいブラックなイメージが付きまとっています。かつては若い世代が常に投入され続けていたのでかろうじて回っていたのですが、今やそのイメージから若い世代に不人気な産業となってしまいました。
工数ベースのビジネスであるため、決められた時間に仕事ができなければ無報酬の残業で“なんとかする”というのがまかり通ってきた業界だからだと思われます。
 
3つの業界の例を出しましたが、いずれも①成長の機会が与えられていない、②職場環境が悪い、③インセンティブない(頑張った分を評価されること)、という3つのポイントが欠けているように感じます。
逆に言うと、これらのポイントをしっかり押さえれば、人材の確保と流出抑止は実現できるのです。
 
飲食業で低い離職率と高い求人倍率で成功している事例があります。顧客の満足度を数値化させ、競い合うことで、モチベーションを維持させたのです。さらに、学生の就職活動を支援することで、職場環境の良さが評価され、人材の確保に困ることはなくなりました。②③に対応したからでしょう。
 
運送業の事例では、社員の福利厚生を厚くすることで人材の確保と流出抑制を実現した事例があります。
ドライバーに社宅を用意し、仕事帰りにお風呂を浴びて帰れる環境を用意したことで、離職率が一気に低下しました。社宅も実は駅から少し離れたエリアのアパートを借り上げすればかなりコストも抑えることができます。
お風呂もユニットを導入すれば大きな投資なく実現できます。新しい人材確保は例えハローワークだとしても見えないコストが掛かるのです。このコストを抑制するだけでも大きな効果です。これは②に対応した事例です。
 
IT企業の事例では、社内にマッサージルームを用意して社員がワンコインで受けれるようにしたり、ベネフィットステーションと呼ばれる会員制の福利厚生サービスに加盟したり、社内表彰制度によって誰かを表彰させる権利を中間管理職に持たせたり、外部トレーニングの機会を設けることで、離職率が10%前後に低下した事例があります。これは①、②、③に手当てをした成果です。
 
人材確保と流出防止は“できること”から始めるしかありません。すぐに効果が出るものではないですが、続ければ結果はおのずとついてきます。離職率が高い事業者であれば、導入しやすい、社員の表彰制度などから初めては如何でしょうか。

◆マイナンバー制度について◆ vol.032   2015/6/12
執筆者 望月 徹
 
日本年金機構からの情報漏えい問題により、にわかに一般の人にもマイナンバー制度が認識度を高めている。
 
マイナンバーは将来的には金融機関口座にも適用させられることができるようにしようとしていた矢先での‘事件’であった。マイナンバーを預金口座番号に連動させるという、いわゆる‘紐付’で、わかりやすく言えば、脱税の摘発をしやすくするということである。法改正によって税当局などが口座情報から個人の資産をより正確に把握できるようになれば、脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)、生活保護の不正受給などを防ぎやすくなり、不公平感の解消にもつながるというわけである。
 
筆者もここ数か月マイナンバーにコンサルタントの端くれとしてどう対応していくのか専門的に精査してきたところである。士業やコンサルタントにも大いに関係する、ある意味、‘こわい’制度であることがわかる。
 
3点、ポイントをあげておきたい。
1.規模の大小を問わず適用
2.委託者にも適用
3.即時罰則適用
 
個人ごとに割り振られるナンバーであるから生活上関係があるのは当然として、業務上も規定される。個人事業主であろうがその規模を問わず適用対象になる。業務委託契約により業務を受託した者からマイナンバーが漏洩した場合、委託者管理が問われる。
 
マイナンバーは個人情報保護より厳しい情報管理を求められる。個人情報保護は汎用性のある情報を保護することであるが、マイナンバーは特定個人情報として、扱う業務を限定して保護することが求められるものである。
 
個人情報保護では即時に罰則適用にはならないのが通例であるが、マイナンバー制度では‘即時’に罰則適用になる。初回の漏洩だから、あるいは、漏れた件数が少ないから事情を斟酌しようということはまったくない制度なのである。もっとも重い刑事罰は「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」もしくはその両方を科せられる。
 
マイナンバー対応に本格的に取り組んでいる中小企業は本当に少ない印象が筆者にはある。
士業やコンサルタントとしては、顧問先企業のマイナンバー対応も指導しないといけないが、自社・自身がマイナンバー対応していないと顧問先・業務委託先から取引や契約を‘はずされる’ことにつながりかねない制度である。裏返すと、マイナンバー対応ができていると、仕事を獲得することにつながる可能性もある。
システム会社だけに可能性が広がっているわけではないのである。
 
今回の年金機構情報漏えい事件のこともあり、本年10月に国民一人一人にマイナンバー通知が郵送される段階で、住民基本台帳制度のときのように、マイナンバー制度導入に一悶着起こってくる可能性は否定できないと考える。しかし、制度導入への備えは怠るわけにいかない。
今後も、引き続き、折にふれ、具体的な対応方法や仕事の作り方をご紹介していきたいと考えている。

◆最近のヒット商品から見る販売戦略①◆ vol.031   2015/6/1
執筆者 山本広高
 
モノが売れない時代になっています。しかし、そんな時代でもヒット商品はあります。
もちろんヒットには様々な理由があると思います。時代の潮流に乗った商品だったり、タイミングが良かったり、などです。
 
 
今回は、売れているモノについて、少しブレークダウンして考えてみましょう。
マーケティング戦略では一般に4Pと呼ばれる分析手法です。
 
①商品力-products
・顧客が必要だと感じる商品である
・顧客の課題を解決する商品である
 
②適正価格-price
・価値と価格のバランスが取れている
・顧客が類似商品と比較して安いと感じる
 
③顧客へのリーチ-promotion
・ターゲットとしている顧客にアプローチできている
 
④販売経路-place
・自社の強みを生かした販売経路を持っている
・販路を複数持ち、代理店などを活用して
 販売にレバレッジを利かせている
 
では、より具体的に分析するため最近人気の”ライザップ”という
フィットネスジムの販売戦略を分析してみましょう。
 
①商品力
・痩せたい顧客に対して、確実に痩せる、という商品を提供している
・運動習慣と食事改善をメニュー化して実行すれば確かに痩せる
・完全個室、プライベートのサービス
 
②適正価格
・数十万円掛かるものの、返金制度がある
 
③顧客へのリーチ
・芸能人が実際に痩せてTVCMに起用することで効果的に
 プロモーションしている
・ダイエットを本当にできるのであればお金を掛けても
 よいという層が存在しているが実際に痩せた人が宣伝する
 口コミ効果が大きい
 
④販売経路
・オンライン申し込み
・店頭申し込み
 
ここで疑問が出ます。あんなに芸能人をCMに起用して、事業は大丈夫なのかと。。。
しかし、ライザップのHPを見て、1点気づいたことがあります。どこの店舗も駅から5分以上掛かる場所にあります。店舗のコストが他社と比較して圧倒的に低いことが想像できます。
 
さらにライザップを経営している健康コーポレーションの情報を調べてみると原価率が非常に低いことが分かりました。
これまで、原価を落としても最大の価値が提供できるような商品を構築し、得た利益はその多くを宣伝広告費に充てることで、販売を拡大してきたと言えるでしょう。
 
ライザップから学ぶことはプロモーションではありません。原価を最小にした上で、他社にない商品を提供(完全個室のプライベート環境)したことです。
ライザップは、市場平均より高い価格でも顧客に受け入れられました。この事実を見ると、商品x価格のバランスを、どんな事業であっても、見直す意味があるということを示唆しているように思えます。