過去のメールマガジンNo.21~30
BFCA経営財務支援協会では、ご希望の方へメールマガジンを配信しております。
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◆執筆者紹介◆

山本広高
(BFCA経営財務支援協会 取締役)
群馬大学工学部大学院卒業後渡米し、フロリダ国際大学にてMBA取得。
外資系コンサルティング会社にてERP導入などITコンサルティングに従事。
退職後、経営財務支援協会取締役、株式会社THINCESS代表取締役に就任。
大企業から中小零細企業まで規模、業種を問わず、事業計画策定や、
サービス開発のプロジェクトに携わっている。

望月徹
大手金融機関で法人融資部門、企画調査部門、業務開発部門等を経験。
この間、中央官庁、米銀本店勤務の出向経験もある。
大手金融機関を辞した後、総合商社系コンサルティング会社で事業成長支援、
事業開発支援に取組み、現在は、事業再生や事業成長支援のコンサルティング活動に従事。
CFPR、日本証券アナリスト協会検定会員、行政書士、宅地建物取引主任者。

◆コロガシ状態の資金について◆ vol.030   2015/5/15
執筆者 望月 徹
        
設備資金等の長期資金を短期資金の借替えの形で融資しているケース(いわゆるコロガシ状態で書替えしているケース)は、会員の身近にないであろうか?
 
筆者の顧問先には典型的な事例がある。
長期資金は融資のうちの1本のみで、他はすべて短期(1年以内書替え)を継続してきた。しかも、借入金総額は月商の6か月分に迫る。適用金利は短期をベースにしているため年利で2%を下回る。ところが、前期決算は、大幅減収・減益、それも経常赤字になった。営業黒字は確保しており、かろうじて債務超過にも至っていないが、取引金融機関から経営改善計画、それも実抜計画(実現可能な抜本的な計画。計画達成度8割を求める計画)を要求されるに及び、筆者が関わりを持つに至った案件である。
 
メイン銀行が焦っているようなので、債務者区分の検討に入っているものと考えられる。
改正された金融検査マニュアルによれば、まず、「中小・零細企業の経営・財務面の特性や中小・零細企業に特有の融資形態を踏まえ、赤字や債務超過が生じていることや、貸出条件の変更が行われているといった表面的な現象のみをもって、債務者区分を判断することは適当ではない。」
 
ついで、正常債権とするか、貸出条件緩和債権とするかは金利水準を勘案して判断することになる。「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針では、元本返済猶予債権(元本の支払を猶予した貸出金)のうち、貸出条件緩和債権に該当するものとして「当該債務者に関する他の貸出金利息、手数料、配当等の収益、担保・保証等による信用リスク等の増減、競争上の観点等の当該債務者に対する取引の総合的な採算を勘案して、当該貸出金に対して、基準金利(当該債務者と同等な信用リスクを有している債務者に対して通常適用される新規貸出実行金利をいう。)が適用される場合と実質的に同等の利回りが確保されていない債権」を貸出条件緩和債権と規定している。
 
メイン銀行が’融資全額引揚げ‘的なことをちらつかせる状況を筆者も久しぶりに体験した。メイン銀行の姿勢を聞いたサブメイン行も大慌てとなり、一時はどうなることかとも思われたが、本社所有地資産の有効活用も含む実抜計画を策定することで合意を見て、当面の書換え(3か月)が済んだところである。
 
案外奥の深い事例でもあり、今後も、支障のない範囲で推移をご紹介して参りたいと考えている。

◆補助金の活用②◆ vol.029   2015/4/28
執筆者 山本広高 
 
一般的に「ものづくり補助金」の名前で認知されている補助金が新しく「ものづくり・商業・サービス革新補助金」として2月13日から公募が始まっています。人気の高い補助金のため、ご存知の方も多いと思います。
 
ものづくり、革新的サービスの場合には1500万円の事業経費に対して、最大2/3の1000万円補助されるというものです。革新的サービスのコンパクト型であれば、最大700万円の補助が得られます。共同設備投資の場合は共同体で5000万、という中小企業にとっては比較的大きな補助金となっています。
 
詳細は公募要項をご覧いただきたいのですが、ここでは幾つか獲得のためのポイントがあるのでご紹介いたします。
 
①ITサービスにおける設備投資
革新的サービスに多いのが新しいITサービスです。これまでパッケージ販売であったサービスを今後はクラウドで提供するというケースや、ある特定の業界の特化型パッケージ・クラウドサービスを開発する、というもの等です。
ところが、革新的サービスに加えて“設備投資”が必要という条件があります。設備を購入することで経済が動く!?という意図が政府にはあるのかもしれません。公募によれば、補助金を満額もらうためには1500万円の半分である750万円を設備投資に使わなければいけません。
ただし、ITサービスを立ち上げるに当たり、設備投資を公募に記載されている通り、1/2、つまり、750万円も掛けるのは現実的でない気がしますがいかがでしょうか?
 
しかし、公募を良く読むと、設備投資の定義は、「機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)及び専用ソフトウエアの取得のための経費」とあります。
 
ということは、A.サーバー、B.WindowsServerなどのOS、C.ミドルウェア(ETLツールなど)、といった設備だけでなく、専用ソフトウェアの導入も設備投資と見なせます。
こうやって費用を積み上げることで、750万円をクリアすることはできそうです。これで革新的なITサービスでも満額狙えます。
 
②賃上げ等の実施状況について
申請書に、「加点する」と明記されているため、社員の賃上げ状況と、賃上げ計画について記載がなければ、申請はほぼ通らないと言えるでしょう。
では申請を通すためには、何を具体的に書けばよいのか。
 
一つ目は、過去の賃上げ状況を表で記載することです。
平成24年度から25年度、及び25年度から26年度の個人の給与推移を列挙し、全体でどう上がったが、下がったか、を記載します。さらに、計画上はXXX%上がる、ということを明記しましょう。
二つ目は、賃上げに関する社員の承認を押印したもので明記します。
※これらのフォーマットはBFCAで標準化したものがあります
 
他にも補助金取得のためのポイントは幾つもあるのですが、皆様が気になりそうな点に関して2点ご紹介しました。
 
5月8日の締切に向けて、頑張りましょう。

◆金融機関検査マニュアル改定の施行◆ vol.028   2015/4/10
執筆者 望月 徹  
                
以前にご案内したとおり、金融検査マニュアルが改定されました。それがこの4月1日に施行されました。
メガバンク用とそれ以外(中小・地域金融機関向け)に分かれています。
ここでは、後者の改定された内容について、ご紹介したいと思います。
 
一言で言うと、金融機関に対して保証・担保を中心とした融資対応から、コンサルティング機能を重視した融資対応に改めなさいという金融庁の指針です。この方針変更については新聞でも報道されているとおりですが、詳細を見ていくと、かなり踏み込んだ内容の記述があります。
 
たとえば、貸出条件の変更について、具体的なスキームを明示化しています。どういうものが取り上げられているかというと、①DES(デット・エクイティ・スワップ)、すなわち、債務の株式化を例示銘記しています。また、②事業再生ファンドを通じた債権放棄への企業再生税制への適用、③保証人になっている経営者の私財提供にかかる譲渡所得の非課税措置等が例示銘記されています。
 
これらは税制特例措置を講じた国として、積極的に活用してもらいたいという意向の表れと解することができます。
改定金融検査マニュアルに対応して直ちに金融機関の融資対応が変化するというものでもありません。しかし、これも以前にご紹介した私の顧問先企業(再生的企業)において、DSS(デット・デット・スワップ)による新規融資の対応がついに実現しました。
金融検査の指針の変化とまったく無関係ではないように考えております。
 
なお、改定金融検査マニュアルの中に、会員諸兄に大いに関係のある記述があります。
経営再建計画に関する記述で、企業の自力策定を前提としながらも、金融機関が策定支援をする。
しかし、金融機関に足りない知見や機能を外部の専門家・機関に求めなさいというものです。
 
認定計画、認定機関のことを言っていると解釈するのが妥当でしょうが、ご存知のように認定計画策定を金融機関から受けるのはリスクなしとも言い切れない面があります。
策定後のコンサルフィーを取れない場合が少なくない、策定後5年間継続フォローが必要だがその経費はもらえない場合も少なくない、その間に企業が倒れると計画策定フィーの返還を当該金融機関から求められる可能性がある等です。
 
そういうことを知ってか知らずか、認定計画とせずに経営再建計画と記述しているところに金融庁側の苦心も伺えると考えるのは筆者の深読みし過ぎでしょうか。
外部専門家・機関にまだまだ事業機会があるように思えるわけですが、果たしてどうか今後の動向に注目しています。

◆補助金の活用①◆ vol.027   2015/3/27
執筆者 山本広高
 
今回と次回は補助金についてご紹介します。平成26年度の補正予算で様々な補助金が出始めました。
創業補助金、ものづくり補助金が有名ではありますが、今回は「小規模事業者持続化補助金」という補助金を紹介したいと思います。
 
 
補助額:50万円(100万円、500万までも条件付きで可)
公募期間:
  受付開始:平成27年2月27日(金)
  第1次受付締切:平成27年3月27日(金)[当日消印有効]
  第2次受付締切:平成27年5月27日(水)[当日消印有効]
申請先:各商工会議所
 
補助上限額は、基本50万円ですが、雇用増加、処遇改善、買い物弱者対策をした場合は、100万円、小規模事業者が連携して申請する場合は最大500万円まで大きくなるものです。
 
補助額は小さいものの、特徴としては、「様式2」にて経営計画を作成しなければならない、という点です。但し、経営革新計画を作成するような高度な計画策定技術は求められていません。そのため、会社の理念、沿革、事業内容等々を文章に落とし、補助金が必要となる理由を明記するのみです。
 
経営計画を作成後に、商工会議所のレビューが入ります。ここでより精度の高い経営計画にバージョンアップさせることができるのです。これがこの補助金の特徴です。つまり、うまく商工会議所を使って経営計画を作ってしまえるのです。
自社の立ち位置、今後の方向性を見直すきっかけ、として使えるのが特徴です。
 
弁護士や会計士、税理士等士業の先生方であれば、広告代理店と組んでこの補助金を顧問先に紹介してもいいかもしれません。「事業計画策定+ホームページ改修」やりませんか?というのでご紹介できるでしょう。
 
BFCAでは今回、1社の申請に向け取り組んでおります。
実は初めての取組で、試行錯誤をしております。
もし他にも取り組みされている方がいらっしゃいましたら是非共有して進めましょう。
 
次回はHOTなものづくり補助金に関する情報です。

◆中小金融機関の動向◆ vol.026   2015/3/13
執筆者 望月 徹
 
地方銀行に再編の機運が渦巻いているのは各種報道のとおりであるが、中小金融機関の動向について述べたい。
 
ここでいう中小金融機関とは、信金・信組・JA(農協)である。
これらは協同組織金融機関とも言われる。銀行のような株式会社組織とは、会員(組合員)からの出資をもとにした非営利法人という点で違いがある。営業区域が一定の区域に限定されており、中央会、連合会という指導組織や調整組織を持っているところに特徴がある。
 
実は、これら中小金融機関の間でも、経営基盤・資本基盤を強化するために合併が増えている。また、中心部、とりわけ、東京都内の金融競争が中小金融機関にも及んでいる。
先日も、顧問先企業に初取引アプローチで無担保・無保証、桁違いの1本、10年という提示があった。皆さんが普通に想像するであろう1本とは異なり、その一つ上の桁であったため、さしもの私も驚いたのである。
 
不動産担保金融であればスピーディーにこなす信用金庫、信用組合も少なくない。特色を出すのにも熱心になってきていて、審査ノウハウの蓄積や日銀からの成長基盤強化支援資金導入等を背景に、特定の業界に特化して積極姿勢を示すところもある。
他方で、地域金融機関ならではの活躍も光る事例がある。東日本での先だっての事例であるが、某信用金庫が公的金融との協調融資を前提に、公的金融に数か月先んじて長期融資(無担保無保証)に応じた。
まだ過去の負の遺産がある中、企業側に実績と詳細計画があった。粘り強い交渉が実を結んだのは事実であるが、金融円滑化法終了後においても目利きをして頑張っている中小金融機関はあるということの一例である。
 
JAについては、全中(中央会)改革が農業改革の関係で論じられたが、金融以外の事業も扱う総合事業性については議論があるようで、いずれ大きな動きになってくるような気もしている。
とかく地銀クラスの動きに目がいきがちであるが、中小企業金融の明日の姿を思い描くには中小金融機関の動向にも目をこらすのも意義がある気がしている。

◆事業承継に関して◆ vol.025   2015/2/13
執筆者 望月 徹
 
中小企業経営者の平均年齢は、1990年代後半には55歳前後と言われたが、現在は60歳程度になっている。
 
中小企業庁「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」によれば、事業承継希望年齢もここ数年間、高年齢推移している(68歳~70歳過ぎを希望)。
 
実際、筆者がお会いする中小企業経営者にも70歳を超えている方は少なくない。活躍の第一線におられる方がほとんどであるが、生涯現役の気持ちや意欲等は別としても、後継者難、相続税・贈与税の負担や連帯保証引継ぎ等の問題もあり、簡単に引退しにくくなっている面もある。
 
後継者難は大概の企業が抱えている。代表者と役員ではおのずと目線が変わってくる。役員を経営者に育てるべく予実管理を定期化しようとした代表者に対して、当該役員から「モチベーションが下がる(からやめてほしい)」と言われて断念した企業もある。役員・部長クラスに(代表者の子弟であるか否かは問わず)候補者がいても、代表者株式の買取りをする資金を捻出できなかったり、保証を引き継ぐことに抵抗を持たれたりするケースもある。
 
相続・贈与対策としては、自社株の評価を下げて贈与することに尽きる。
そのための方策としては、①組織再編を利用した対策、②従業員持ち株会を利用した対策、
③公益財団の設立を利用した対策等が考えられる。
 
しかしながら、これらはテクニカルな事柄とも言え、その前の大本のところが解決していないケースが少なくない印象を筆者は持っている。
 
先日も、顧問先企業の承継にまつわる相談を受けたが、実の親子であるNO1とNO2がなかなか相互にコミュニケーションがとれないのである。仲が悪いわけではない。
しかし、いつまで現役でいるつもりかとか、退いた後関与するのかしないのかとか、海外の赤字事業の真因は何なのか聞きにくいとか、保証を引き継いでもらえるだろうか等々面と向かっては聞きにくいのだそうである。
 
我々コンサルタントが担うべき役割・責務がここにあると通感した次第である。

◆財務リスクヘッジ~為替編②◆ vol.024   2015/2/3
執筆者 山本広高
 
前回のメルマガでは為替のリスクヘッジについて記載しました。もう少し具体的にどうやって対応すればよいか、という説明をしたいと思います。
 
通常、為替予約を銀行で行うと必ず行使しなければなりません。そのため、デリバティブ取引で大きな損害を被った事例がありました。銀行からの融資を断られるのが怖いから契約した、そのおかげで借入金でデリバティブの損失を穴埋めしなければならなくなった、そんな話も聞いています。
 
しかし、銀行取引でなく、証券会社の発行する“オプション”を売買することで、為替予約と同じ効果を発揮することもできます。
 
※オプション取引とは、将来の決められた期日(満期日)にあらかじめ決められた価格(権利行使価格)で対象となっている資産を買付ける、または売付ける「権利」を売買する取引のこと。
 
例えば、eワラントという商品があります。
 
eワラントは、オプションを証券化した商品で一般には投機的な扱いを受けるのですが、今回説明するのは為替のリスクヘッジに使うやり方のため、目的が全く異なります。
 
輸出企業であれば、急激な円高はリスクです。このリスクをヘッジするため、円高になれば利益が出る“ドル売り円買い”の商品を購入します。輸入企業はその逆です。
 
但し、この手法だけで100%リスクを回避できるわけではありません。長期の円高はそもそも生産を海外に移すといった大掛かりな対応が必要で、多くの企業はすでに実施していることでしょう。生産拠点の海外移転は為替リスク(大損、大儲け)を減少させます。
 
eワラントのオプション売買は、海外進出や、海外の事業買収といった場合にも効力を発揮するようです。
“投機的で難しい”と考えがちなオプション取引ですが、やり方次第では“保険”に近い機能を持つということをご紹介しました。

◆短期継続融資について~◆ vol.023   2015/1/15
執筆者 望月 徹
                 
昨年12月1日付、日経新聞に掲載された次の記事をご記憶しておられるでしょうか?
 

金融庁は地方銀行の経営統合を支援するため、グループの銀行間で余った資金を自由に融通できるよう12月から規制を緩和する。地元の中小零細企業への融資を増やす狙いで、返済期限が事実上ない運転資金「短期継続融資」も出しやすくする。金融検査・監督の照準を地域経済の活性化に合わせ、地元への資金供給拡大につなげる。

 
ここで言う短期継続融資は、俗に、短コロとも、コロガシ手貸とも言って、筆者が融資担当であった頃、融資残のかなりの割合を占めていたこともあります。この様相に変化があったのは、平成14年の「金融検査マニュアル(中小企業融資編)」が発表されてからと言われます。
 
同マニュアルの中で、書き換えが継続している手形貸付のうち、『正常な運転資金』を超える部分で分割返済が困難なために継続融資になっており、借手企業を支援する目的で貸出金利を設定している場合には、当該貸出は、条件緩和債権になるとされたのでした。
 
融資残高構成が短期の融資主体から長期の融資主体にシフトすることは、短期で返済を迫られないという意味では企業として計画が立ちやすい面もありますが、他方、コロガシと異なり、返済元本が負担となって資金繰りを苦しくすることにもつながっていった面があります。
 
実際のところは、冒頭の日経記事はまだ観測記事に過ぎなかったのでしょうか、金融検査マニュアルの改訂は26年6月以降更新されていません。
 
しかし、流れとして、現実に筆者顧問先でも経験するのは、当座貸越枠の設定をアプローチする地銀等が増えているということです。
 
当座貸越というのは枠一杯使っている場合、まさに短期「継続」融資に近い性格になるにもかかわらず積極姿勢が垣間見えることが増えている印象はあります。
 
すでに金融機関の側では、目利き力の涵養、成長融資の活発化という両面から、意識した取り組みになっているとも言えます。ただし、業績が比較的良い企業に限られるので、中小企業に広く及んでいくようになるかは、金融庁及び金融機関の動向をウォッチしていくことといたしましょう。

◆財務リスクヘッジ~為替編①◆ vol.022   2014/12/19
執筆者 山本広高
 
日銀が金融緩和を行ってから急激な円安が進み、2014年の為替相場は激動だったと言えます。
経済評論家によれば、130円、140円まで向かってもおかしくない、という方もいれば、世界情勢の悪化に伴い、再び円高に振れる、という方もいらっしゃいます。
 
この影響をまともに受けるのが輸出入事業者です。輸出事業者は当然のことながら円安により利益を享受することができますが、輸入販売している事業者にとっては急激な変化は利益を圧迫し、事業の存続すら危うくなり兼ねません。
 
大企業の商社はどうやってリスクヘッジしているのでしょうか。
実は”為替予約”という商品を購入しています。
 
以下、例です。
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このままではドル円は120円を再び突破しそうだ。
では手数料を払って、1か月後に119円でドルを購入する予約をしておこう。
 
1か月後。。。
 
130円まで円安が進んだ!でも、119円で購入する手続きをしておいたので、
市場で130円でドルを手に入れるよりも安く済んだ。
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もし90円になってしまったらどうすればよいでしょうか?
予約を破棄して90円で市場からドルを取得すればよいのです。予約の手数料のみ支払うだけです。
 
こういった為替リスクを回避する手段をまだまだ活用していない中小零細企業は存在しています。数年前に「為替デリバティブ」という商品が流行り大やけどをしてしまった事業者も多いからかもしれません。
 
しかし、事業継続のためにやるべきは“リスクヘッジ”です。
かつて著者が大学でInternational Businessを学んでいたころ、教授が“リスクはテイクするのではない、ハンドルするのだ”と言ってました。
 
外的環境の急激な変化に対応できるよう、準備しておくことが必要だと認識しています。
次回は、具体的にどうすればよいのか?という実務に近い部分をご紹介します。
 
※オプション、デリバティブといったキーワードを使うと理解が困難かと感じたため、
用語についてはメルマガ上避けて表現しています。

■~地方創生について~■ vol.021   2014/12/5 
執筆者 望月 徹
 
過日、まち・ひと・しごと創生会議メンバー 増田寛也氏(東京大学公共政策大学院客員教授、元総務大臣)の話を聞く機会がありました。
なかなか興味深い話もあったのでご紹介します。クローズドな会であるので、意訳にしたり、差しさわりのあるところは省略させていただくことをあらかじめお詫びします。
 
なぜ地方創生の話が出てきているのか?
その背景には、甘利大臣を中心に大企業向けの施策を打ってきたので、地方創生も必要という安倍総理の意向が働いていると言われます。人口増加対策にそれなりに取り組んできたつもりの歴代政権の流れの中で、
十分な成果が出ていない以上、個々人のレベルアップを図るという発想から出ているのが地方創生とも言えます。
 
当初は、11月28日に第4回会合開催、12月5日に本部決定の予定でしたが、今般の解散により審議が1か月遅れになる模様。雲散霧消するリスクもないではないようです。ただ、予算編成が越年するとはいえ、特別国会を12月24日招集、1月の2~3週間で総合戦略を詰め、1月20日は補正予算案を提出、1月27日には
国会議決、当初予算も2月中旬というスピード感を持ったスケジュールが想定されているとの説もあります。
 
財務省が予算化に了承していることからも地方創生予算は来年度いろいろな意味で‘期待’含みなのではないでしょうか。
 
ところで、増田さんが著書等にも書いていることですが、私が一番びっくりしているのは、「東日本大震災後、東京圏への転入超過数は減少したが、昨13年は震災前の水準を上回っており、東京圏への転入が拡大している」ということです。東京オリンピックでさらに拍車がかかる可能性が高いとみられています。   
しかしそれでも、40年には東京圏における15歳~64歳の生産年齢人口は6割まで低下するとみられています。また、現在、東京23区内では介護施設への入居を待機している人が4万3千人います。これが今後ますます増える傾向にあります。一方で高齢者向け民間施設の経営そのものが悪化している現実もあります。
 
国家論としての議論もありましょうが、中小企業経営に関係する者として、容易ならざる状況に改めて愕然とするとともに、イノベーションが随所に求められ、身が引き締まる思いのした会合でした。