過去のメールマガジンNo.11~20
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◆執筆者紹介◆

山本広高
(BFCA経営財務支援協会 取締役)
群馬大学工学部大学院卒業後渡米し、フロリダ国際大学にてMBA取得。
外資系コンサルティング会社にてERP導入などITコンサルティングに従事。
退職後、経営財務支援協会取締役、株式会社THINCESS代表取締役に就任。
大企業から中小零細企業まで規模、業種を問わず、事業計画策定や、
サービス開発のプロジェクトに携わっている。

望月徹
大手金融機関で法人融資部門、企画調査部門、業務開発部門等を経験。
この間、中央官庁、米銀本店勤務の出向経験もある。
大手金融機関を辞した後、総合商社系コンサルティング会社で事業成長支援、
事業開発支援に取組み、現在は、事業再生や事業成長支援のコンサルティング活動に従事。
CFPR、日本証券アナリスト協会検定会員、行政書士、宅地建物取引主任者。

■~海外進出後の低利融資について~■ vol.020   2014/11/7
執筆者 望月 徹
 
タイ進出中小企業から、現地法人の運転資金を低利で調達できないかとの相談がありました。
海外に出ていく際の支援融資や補助金は比較的整備されていますが、進出した後の制度的手当てが手薄で、現地で借りると金利も高い。何とかならないであろうとの相談でした。
 
主だった資金調達方法としては、(社)アジア太平洋研究所がまとめているように、
 
①タイの提携銀行からの融資(バーツ建て)
②現地法人へのクロスボーダー融資(バーツ建てもしくは米ドル建て)
③日本での親子ローン(主に日本円建て)
 
のいずれかで対応することが考えられます。
 
しかし、それぞれに解決すべき事項があります。
まず提携銀行からの融資ですが、取引銀行(地銀、信金)がタイの地場銀行に信用状(スタンドバイ・クレジット)を差し入れ、当該提携銀行から取引先企業にバーツ建て融資が実行されます。しかし、現地法人にとっては元利金の支払いに加えて信用状に対する保証料の支払いが必要になるため高コストになりやすいうえ、取引銀行にとっても収益は保証料のみでメリットが少ないため、二の足を踏むことになりがちです。
 
つぎに、②のクロスボーダー融資(バーツ建てもしくは米ドル建て)は取引銀行にとって①の提携ローンよりは収益は大きいが、契約書の作成等の業務コストが高いため融資額が多くないと割に合わない融資と言えます。また、融資後の現地法人のモニタリングの困難さも制約要因になります。
 
そこで、③円建ての親子ローンを日本の本社向けに実施することが多いのが実情です。
現地でのバーツ建ての資金需要に対しては為替リスクを親会社あるいは現地法人が引き受けなければならないというデメリットはありますが、上記3つの中の選択肢の中でこなれた方法になります。この③は、JBIC(国際協力銀行)のツーステップローンを活用する場合もあります。通常、銀行は資金使途を限定し迂回的な資金の使い方を禁じますが、親子ローンについては実情と資金需要に即して例外的な扱いをしていることになります。
 
最終的に私が相談に対して回答したのは、JBICの海外展開支援ファシリティーの活用です。民間銀行とJBIC協調融資のスキームで13年4月に創設されました。JBICは融資金額の6割を上限融資金額としますが、金利条件は個別案件の意義に応じた政策スプレッド及び与信先の信用力見合いのプレミアム(以下「プレミアム」)を上乗せが出来上がり金利となります。ただし、中小企業者等向け貸付の場合は政策スプレッドをゼロ、プレミアムの上限を0.3125%としています。
また、ベース金利はJBIC適用金利(融資期間5年以下では0.2%)を下回ってはいけないことになっています。5年以下の融資に対して0.5125%という金利条件も理論上はありうることになります。設備資金が主になりますが、実績としては運転資金も出ています。
 
メガバンクとの付き合いが深い中小企業は別とすれば、JBCI絡みが可能性を広げると言えます。

◆研究成果の評価◆ vol.019   2014/10/17 
執筆者 山本広高 
 
ここ数週間、中村修二氏がノーベル賞を受賞したニュースで持ち切りでした。青色LEDの功績はここでは議題にせず、あえて経営者と研究者という立場について、私なりの考え方をお伝えしたいと思います。
 
私が学生時代、当時工学部だったので、興味深く読んだのが「怒りのブレイクスルー」著者が中村修二氏でした。一企業の研究者が紆余曲折、四面楚歌の中、”怒り”をエネルギーに青色LEDを発明するいきさつが赤裸々に書かれていたことを思い出します。
 
報道ではそれほど触れられていないように感じていますが、中村氏と日亜化学工業株式会社の訴訟が社会問題として取り上げられてた頃でした。
 
コンサルタントという立場から、企業側の立ち位置に立ち、騒動を再度検証したいと考えます。これはある意味、社会の動向に逆行するかもしれませんが、より客観的に事実を見たい、という想いもあります。
 
公開されている事実は以下の通りです。
1.中村氏は1989年から日亜化学工業において、青色LEDの開発に着手
2.開発当初は先行していた赤崎氏のレベルに追い付くことが目標
3.中村氏は赤崎氏と同等レベルの青色LED生産に必要な結晶膜を開発し、
  1990年に特許を取得
4.日亜化学工業の中村チームはアニールと呼ばれる量産化技術を開発し、
  商品化に成功
5.日亜化学工業を去る頃、中村氏の年収は約2000万弱(45歳)
6.発明の報酬は同世代の一般社員よりも6195万円ほど上乗せして支給
 
日亜化学工業の立場で取り得た策はどうすればよかったのか。幾つか案を出してみました。
 
①日亜化学のストックオプションを中村氏を含むチームに与え、1年間所属しなければ取得できないという縛りを付ける
⇒継続的に研究してもらうことができます。
 
②中村氏が社長、もしくは事業部長となる新しい会社を設立し、日亜化学工業と青色LED事業を切り離す中村氏と日亜化学工業が出資することで将来の利益を共有する
⇒中村氏が経営責任も背負うことで個人でなく、事業として考える機会を設ける
 
③雇用契約⇒業務委託契約など中村氏と契約を変更する
⇒成果物をきっちり求める代わりに成功報酬を付けるなどやることはほぼ同じでも
 関係性を変える
 
中村氏は公開されている事実の3の後、自分で実験をせず大量の論文を書くことで博士⇒教授の道を進みます。彼にとってはその道が良かったかもしれませんが、日亜化学工業にとってはどうだったのか?
日亜化学工業は確かに青色LEDの量産化に成功したため、売上も15倍になったと言われているので、本来なら良好な関係を続け、お互い利益を享受する方向もあったかもしれません。
 
経営側に立った場合、もちろん正解はなく、個性が強い優秀な社員をどう扱うか、というのは永遠の課題ではあります。ただ、訴訟といった最悪の事態を避けるために、“これは!”という技術を研究者が開発した場合のことも踏まえ報酬体系等の待遇を議論し方針を定めておかなければなりません。
 
その一つの例としてご紹介しました。

■新しい第2創業の補助金について~■ vol.018   2014/10/3
執筆者 望月 徹
 
経済産業省が新事業に挑戦する中小企業の後継者を支援するため、「中小再生、後継者後押し 不振事業分離に補助金(第2の創業)促す」、との記事が日経新聞9月24日朝刊に掲載された。
 
今年6月末の募集締切りで前年度創業補助金の、いわば、積み残しが終わり、夏頃には第2弾の創業補助金が公表されるとの見方は以前からあった。
 
1件当たり1千万円を上限として予算額10億円というのは、まずまずの規模と言えよう。
 
親族でない人にも経営を円滑に引き継げるよう、親族との株式保有に関わるトラブルを防ぐ法改正も合わせて検討することとされているので、事業譲渡(M&A)型の再生も相当程度、経産省の念頭にあるものと考えられる。
 
ただし、絵に描いた餅的な面が否めないのは私だけであろうか。
黒字化が継続しないでいても金融機関が再生に支援協力している企業には昔からの優良企業との取引関係、いわば、のれんがあって、取引口座を持っていることが大きいケースが少なくない。大手企業が簡単に新規企業の取引口座を認めにくくなっている状況に鑑みて、不振事業を分離すること、イコール、取引口座を手放すこと、イコール、新規事業を軌道に乗せる困難さが生まれる、といった悪循環が想定される場合が現実にはよくあるのである。
 
単純に、人件費や設備費を補助金で賄えれば軌道に乗るというものではないということである。
 
規格が必要な業種の場合は、規格を手放すことにつながり、同じようなことが言える。何らかの補完機関やバイパス、あるいは制度的措置が必要ではないかと個人的には考える。しかし、何はともあれ、応募できそうな企業はいまから準備を始めて第1回の募集に間に合わせることが肝要と言える。
 
今回も第1回目の応募の採択率が最も高くなる可能性は大いにあるためである。

■コンサルタントの顧客管理②■ vol.017   2014/9/22
執筆者 山本広高
 
前回のルマガではコンサルタントが顧客管理を行うに当たり、“ターゲットリスト”というテーマでご紹介しました。何かしら接点あった事業者が顧客となり得そうな場合、ターゲットリストに登録し管理することで、顧客の傾向を掴んだり、売上予測を立てることができるようになります。今回のメルマガでは、契約を取ってからの計画を立案するアカウントプランについてご紹介します。
 
士業の先生方、各種コンサルタントの方々はそれほど“営業”に力を入れることがないとは思います。しかし、一度顧客をつかんだら“売り切り”でなく、比較的長期での契約になるのが特徴的です。一方で、長期契約を結ん後は“サービスを提供して終わり”になっていないでしょうか。
“サービスをを提供して終わり”でなく、より長期のお付き合いができるように顧客の課題解決に踏み込むためのツールが今回ご紹介するアカウントプランです。
 
<アカウントプランフォーマット>
 
EXCELを開いたら、契約のある事業者についてリストに記載します。できるだけ契約内容については、詳細に書き込みます。
「顧問契約」といった一言でなく、何を提供しているか、という視点で記入します。
 
<顧問契約>
・経営支援(役員との事業推進方針の検討会参加)
・新事業計画立案(新事業立ち上げに伴う事業計画策定)
・人材採用支援(採用マニュアル作成支援)
etc...
 
次に契約期間について記載します。
特に、契約満了日については必ず記載しておき、満了が近い顧客に対してアプローチできるようにします。EXCELの特性を活かし、ソートや抽出機能を活用してください。
 
これからが本題です。
「見えている課題」、「対応方法」について記載します。歯医者に行ったことを想像してください。「虫歯の治療はA歯ですが、B歯も一緒に治しましょう。治すには、インプラント・銀歯・金歯といった治療法があります。どの治療法を選択しますか?最後にクリーニングしますか?」
 
皆さんもこんなやり取りに経験があると思います。
コンサルタントの仕事も同じだと考えると、提案を時期を見ながら続けて行うことが最終的には顧客の満足度を上げることになります。
 
カネの課題(資金調達、資産活用など)、モノ(サービス・商品)の課題(クレーム対応、新商品開発など)、
ヒトの課題(流出、採用、スキルなど)、の軸から顧客に何を提案すれば事業の推進を支援できるか、継続的に考えることが契約の長期化を助けてくれます。
 
最後に、EXCEL自体はもちろんご自由に更新して使って頂いて問題ありませんが、項目の数は少なくしたいため、備考欄をうまく活用してください。
「誰からの紹介か」
「鍵となる人物(決済権を持つ人物)はだれか」
担当者以外が見ても引き継ぎできるようにできるだけ詳細に記載しておきます。
 
2回に渡って顧客管理についてご紹介しました。
うまく活用することで顧客からより信頼されると思いますので、添付のEXCELを活用下さい。

■人手不足への対応~外国人技能実習制度について~■ vol.016   2014/9/5
執筆者 望月 徹
 
中小企業の現場では、人手不足が深刻化しています。介護事業や建設事業での人手不足のニュースは頻繁に登場しています。これらへの対応として、外国人技能実習制度がよく話頭に上ります。
 
今回は、外国人技能実習制度の動向や課題を取り上げてみたく思います。
様々な業種での人手不足の深刻化、とくに東北復興や東京オリンピックにおける建設業の人手不足を受けて、他方、不適正な取り組み事例もあること等から、外国人技能実習制度の見直しが検討されています。
具体的には、外国人の受け入れ制度の在り方を検討する谷垣禎一法相の私的懇談会「出入国管理政策懇談会」の分科会が6月に次のように問題点の指摘および提言をしました。
 
(問題点の指摘)
・技能等の評価・効果測定の体制未整備・未確立。具体的には技能検定3等級の義務付けが行われていないこと
 
・監理団体が実習実施機関に対して適切な監理・監督ができていないこと。実習生帰国後の現地調査も不十分なこと。
 
・不適正な監理団体が別の団体を立ち上げて制度に再参入する事例もあること
 
・国際研修機構(JITCO)の法的根拠・役割・権限があいまいなこと
 
・技能実習生に対する人権侵害
 
・送出し機関における中間搾取の事例があること
 
(提言)
・日本での実習期間を現行の3年間から5年間程度に延長すること
 
・受け入れ対象職種の58業種から拡大すること。具体例として、自動車整備業、林業、惣菜製造業、介護等のサービス業、店舗運営管理等
 
・監理団体の監督指導の義務付け
 
など
 
平成27年1月にも見直し施行ができるようにこの8月内にも監理団体の協議会には連絡があるとみられていましたが、未連絡のところを見ると難航しているように思われます。つぎのようなことが問題を複雑にしています。
 
・実習期間の延長といっても、実は単純ではありません。たとえば、現状において、食品加工が一律に3年間の実習期間を認められるわけではありません。単純作業では駄目で、燻製の工程等でないと認められないのです。
 
・受入対象職種の拡大にしても、店舗運営管理に広げようとした場合、これが単純な皿洗いに使われてしまわないかという懸念もあります。
 
・監理団体の監督指導を義務付けるといっても、監理団体が現実問題として工事現場を監督できるでしょうか。大手ゼネコンは下請け会社に委託、受託会社の工事現場にずっと張り付いているわけにはいかないとなれば、責任を問われる監理団体が建設業に外国人実習生を受け入れるのに難色を示すのは当然です。
 
諸外国とのアジアの労働力の取り合いになっている中、心もとない状況にあります。一番痛いのは円安により実習生の取り分が目減りしていて彼らに日本に来る魅力が減っていることです。
このように、外国人実習生制度に期待するだけでは駄目で、業務の機械化・自動化等イノベーションが中小企業活動においても急務と言えそうです。

■コンサルタントの顧客管理①■ vol.015   2014/8/22
執筆者 山本広高
 
どんな業界であっても、営業を行うに当たり、「顧客管理」が非常に重要であることは認識されています。この「顧客管理」システムを導入したり、顧客管理プロセスの改善をコンサルティングメニューにしている事業者も数多く存在しています。このように「顧客管理」の重要さは市場で認知されています。
 
一方で、コンサルタントの場合、一般的な「顧客管理」システムは必要とされているのでしょうか。これは私の個人的な考えであり、規模にもよりますが、”不要”だと思います。私が所属していた以前のコンサルティング会社は社員が5,000名以上いましたが、一般的に最もメジャーである、Salesforceの導入コンサルは行いつつも、自社の顧客管理はEXCELでした。
 
笑ってしまうような話ですが、もちろん理由があります。「営業担当者は現場の人間」であり、営業部がないからです。コンサルティングサービスを提供する人間が営業担当者でもあるため、標準化された仕組みは、むしろ現場の作業を阻害する可能性があるのです。
 
では士業を含む、コンサルティングをサービスとして提供する事業者が、「顧客管理」をするにはどうすればよいか、私が行っているやり方の一部を皆さんに共有したいと思います。
 
私の顧客管理方法はEXCELのみです(特に営業担当者を設置していないため)。
下記の2つのファイルだけを使用します。
①ターゲットリスト:顧客になる候補リスト
②アカウントプラン:顧客になってからのアプローチ管理(追加提案など)
 
今回のメルマガでは、ターゲットリストをご紹介します。
<ターゲットリストフォーマット>
 
まず、何かしら接点があった事業者はターゲットリストに記入します。対象は、”面談・もしくは相談に来られた事業者”です。
名刺のやり取りを行っただけの事業者であれば、それは名刺管理ソフトに入れておくだけとします。コンサルティングの顧客になるかどうか、その場で判断します。
 
例えば、最近であれば、”助成金の申請をしたいので事業計画を一緒に作ってほしい”という相談がありました。その場合は相談内容も具体的に、受注確率も高そうだな、という情報をターゲットリストに載せます。
 
営業方法はシンプルで、初期面談で事業内容をお聞きして、「10万円の着手金と成功報酬で10%頂きますが、如何でしょうか」と提案をし、OKであれば、EXCELのステータスを更新して”契約中”とします。
無事契約できたら”受注”というステータスに変更します。
口頭ではOKとしても、契約できない場合があるからです。
 
正直なところ、たったこれだけのものでも残しておくと、なんとなく、医療関係の顧客が最近増えているな、とか、相談はあるけど、受注できていない気がする、といった頭の中にある顧客情報をより具体的に分類できるようになります。EXCELに記入することで、顧客の傾向が分かるようになるのです。
 
1人で経営しているコンサル会社や、2,3名で始めたコンサル会社などでは、ちょっとしたEXCELでの顧客管理だけで情報共有がスムーズに進みます。営業管理ができていないクライアントからご相談を受けた場合には、下記の流れを紹介しています。
 
1.ターゲットリスト⇒アカウントプランをEXCELで顧客管理を始めましょう。
2.その後、ZOHOやSalesforceといったシステムを導入しましょう。
 
提案した内容・提案書を取りまとめる、ターゲットリストからの受注率を出す、など、時間をかけて深堀し分析すれば、より活かせる情報が得られるかもしれません。
ですが、現状、私自身がステータス管理で精いっぱいです。現時点では、情報管理に時間を割くよりも個々の顧客へのサービス提供に力を入れる段階であるとも考えており、段階を踏んで進めていきたいと思っています。
 
そんな自分自身の経験から、営業担当者=自分、というコンサルタントにとって、負荷をかけずいかに情報を管理するかというのは課題の一つだと思っています。課題解決のための一歩として、読者の皆様にもターゲットリストを使って頂ければ幸いです。上記でご紹介したターゲットリストは、自由に項目を変更してご活用ください。
 
次回は契約締結後のアカウントプランについてご紹介します。

■「稼ぐ力」創出■ vol.014   2014/8/8
執筆者 望月 徹
 
経産省が平成26年4月に開始した日本の「稼ぐ力」創出研究会が去る7月28日で第5回を終えた。中間論点が出そろい、識者と意見交換を行って、今後、年内にも議論を取りまとめる方向とされる。
 
これまでのところでは、生煮えの議論の様相もある。それというのも、たとえば第2回研究会では、産業・金融一体改革を議論しているが、こと間接金融に関しては、問題提起が旧来のものだからである。
 
曰く、『足下の財務状況のみにより「貸せる先」と「貸せない先」を峻別し、「貸せる先」には極めて低利での貸出競争が発生する一方、財務状況が少しでも劣後する「貸せない先」には成長マネーの供給が不十分なものとなっているとの指摘がある』
 『銀行における目利き能力が低下し、融資先企業の成長性等を評価する仕組みが機能しておらず、また、企業への新陳代謝の支援についても十分に機能していないのではないか、との指摘がある』
 
これらの問題を解決する施策として、グローバルベンチマークの導入検討が提唱される。グローバルトップ企業群と日本企業のビジネスモデルや成長性を比較・検討し、金融機関の出融資等の判断や、企業自身の経営判断の参考となる評価指標にしようというもので、金融機関の目利き力が劣るのを補おうとするものである。
 
グローバルトップ企業群と日本企業を同列に、同一視点で見て良いかは疑問の残るところであるが、今春成立した産業競争力強化法第50条を梃に産業横断的に金融と一体的に改革する仕組みを作ることも想定されるので、今後の議論の深まりに期待したい。
 また、第5回研究会の識者報告(地銀における事業再生の現場報告)と同研究会議論とのギャップを委員が埋めていく努力もお願いしたいところである。
 
最後に、同研究会で示されているグローバルな価値創造の6つのパターン(筆者はなかなか気に入っている)を掲示して本稿を結びたい。
 
【タイプ1】グローバル・ニッチ・トップ(GNT)型
【タイプ2】開発・生産分離型  
【タイプ3】ソリューション型  
【タイプ4】マーケティング主導型  
【タイプ5】ファンド型  
【タイプ6】プラットフォーム型

■資金調達の新たな可能性 2■ vol.013   2014/7/18
執筆者 山本広高
 
クラウドファンディングという新しい資金調達方法について、前回はその内容の説明とどこを利用したらよいかの分析について、ご紹介しました。今回はより具体的に進めるために必要なことを事例と共にご紹介します。
 
クラウドファンディングを利用するのは、事業者でも個人でも問題ありません。
ある目的・目標を実現するための”プロジェクト”を立ち上げる感覚で開始できます。サービス提供会社にプロフィールを登録をしたら、プロジェクトの申請プロセスが最初にあります。ここでは、プロジェクトの名前や、内容、
資金調達したお金を何に使うのかを説明します。プロジェクトの内容がどんなにすばらしくても、掲載される説明が陳腐で画像もないのであれば、資金も集まりと言えるでしょう。
 
現在行われているクラウドファンディングの実態は、”ファンに寄付を募る”という趣が強いですが、その仕組みは法的な問題を回避するため、”販売”という形態になっています。そのため、資金調達に非常に重要なウェイトを占めるのが、”引換券(READYFOR)”の存在です。より多くのお金を集めたいと考えた時に、何をその見返りでお渡しするのかが資金の集まり具合を左右します。
例えば、映画の制作であれば、”お金を出した方の名前がエンドロールに出る”というのはインパクトがあります。具体的な商品開発であれば、初期に手に入れることができることに価値を見出す方々、一般的にはエバンジェリストユーザーと呼ばれる方々もいます。
 
ここで、私が関わっている案件はどうしているかをご紹介したいと思います。プロジェクトは簡単に説明すると、コーヒーの豆かすを集めてそれを堆肥と混ぜて乾燥させ、土にします。その土で無農薬野菜を作るという、安心安全な野菜作りを目指したエコリサイクルシステムを目指すプロジェクトです。
まずはサンプル生成のために、都内のコーヒー店からコーヒーの豆かすを集めなければなりません。その豆かす回収コストが資金調達の理由です。
 
しかし、初期に必要なお金を集める、というよりも、事業として育てるには、という意識で動いています。チームメンバーは、資金調達というより、純粋な”販売”としてクラウドファンディングを利用できないか、と考えています。引換券の原価をかなり上げて、確かにこれなら欲しい!と言ってもらえるものを提案しています。
※当プロジェクトは7月18日時点で現在申請中というステータスです。
 
具体的には、以下のものです。
①ロゴ入りステッカー
②ロゴ入りクリーニングシート(PCの液晶や、メガネを拭くクロス)
③プラント(Coffee Soilと麻の袋、種で自分で育てられるキット)
④八ヶ岳のおいしい牛乳(土生成を手伝って下さっている酪農事業者)
⑤無農薬野菜セット(土を使って野菜作りを行う予定の提携農家)
 
ファンとなってくれた方々の名前入りTシャツとか、他にもいろいろ検討はしましたが、どうしても原価が上がるので、見合わせた結果、上記になりました。
 
発送には送料を考えなければならないため、原価を考えると半分くらいです。つまり、資金は集まってもその半分はファンの方々にお返しします。さらに、サイトによって異なりますが、READYFORの場合、17%を運営側にお支払しなければなりません。したがって、残るのは調達した額の33%です。
これは人によっては少ない、と感じるのは当然だと思います。もちろんプロジェクトの性質によっても異なるので参考にしてみてください。
 
私達が出した結論は、以下の通りです。
①物理的に存在する商品の開発に資金が必要なのであれば、マーケティングとしてのツールの1つという使い方をする
②イベント、音楽、映画など、人的コストを賄うために必要な資金であれば、純粋に活動費を集めるのに適している
 
純粋に資金調達、として考えるのであれば、引換券の原価をいかに下げるか、というのがポイントです。手書きのサンクスレターや、小冊子、イベントへの参加チケットなど、自らできること、コストがあまり掛からないものを提供すれば資金は残りますが、何か商品を提供したりするとコストが上がってしまいますので注意が必要です。
 
コンサルタントの方が、クライアントにクラウドファンディングを利用したいと相談された場合には、この”引換券の設定”をどうするか、という点がポイントになるでしょう。いずれにしても、新しい販売方法、資金調達方法ですので、少額からでも一度トライしてみてはいかがでしょうか。

■DDSの現況について■ vol.012   2014/7/4
執筆者 望月 徹
 
創業20年、年商15億円の食品関連企業A社の経営者から先日、債務超過、事業承継の相談を受ける中で、DDS(Debt Debt Swap、資本性借入金)について問い合わせがありました。これは私が以前A社長にDDSの要件緩和について話したためと思われます。
 
そこで、今回はDDSの現況について述べたいと思います。
 
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、既に関係省庁から公表されている通り、金融庁は平成22年11月にDDSの金融機関取扱いにおける要件を緩和しました。
「金融検査マニュアルの運用明確化」という表現で、償還期間を5年以上、事務コスト以上の金利設定可能、担保解除不要とし、金融機関が取組みやすくしました。つまり、「上限金利0.4%」と事務コストを乗せていいものかどうかあいまいだった事柄を明確化しました。
 
その後、24年7月にDDSの積極推進を金融機関に働きかけていることから、金融円滑化法切れへの対応の一つとされます。
 
要件緩和と金融庁の後押し(事例を作りなさいという発破)、また、東日本大震災の復興支援もあり、22年度から24年度の2年度間に件数が6.7倍の急増を遂げました。もっとも、元々分母が少なく、24年度においてすら取扱い件数は409件に留まります。
 
この背景には金融機関側がシュリンクする実情があることを理解する必要があります。
 
第一に、公認会計士協会が24年1月に公表した「銀行等金融機関の保有する貸出債権が資本的劣後ローンに転換された場合の会計処理に関する監査上の取扱い」に従えば、DDS実行金額が大きければ、その部分は100%引当となるため、貸倒引当金が結果として増加する可能性があることです。負担も増すし、面倒くさいと金融機関が考えてもおかしくありません。
 
第二に、そこまでして対応するべき中小企業がどれだけあるかという金融機関側の抱く疑問符があります。資本と見なされ追加の融資がしやすくなる半面、モラルハザードを指摘する意見もあります。
 
第三に、金融検査上資本とみなすというのは、金融庁と金融機関の間のいわば約束事であり、法的に定義されているものではないことです。
 
24年度の取組み事例の中に東海地方の地銀の再生ファンドと一体的に取り組んだ成功事例があります。しかし、これなどは何のことはない、ファンドの派遣する専門経営者が経営権をとることで再生を軌道に乗せています。
 
冒頭の企業のニーズとはかい離します。果たして、冒頭のA社はどういう風にするか、どういう決着をみるか、経過は別稿に譲りたいと思います。

■資金調達の新たな可能性■ vol.011   2014/6/23
執筆者 山本広高
 
最近注目されている資金調達の方法で「クラウドファンディング」というものがあります。
 
クラウドファンディングとは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指します。群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語であります。ソーシャルファンディングとも呼ばれます。クラウドファンディングは防災や市民ジャーナリズム、ファンによるアーティストの支援、政治運動、ベンチャー企業への出資、映画、フリーソフトウェアの開発、発明品の開発、科学研究、個人・事業会社・プロジェクトへの貸付や出資など、幅広い分野で活用されている。
 
 
何か新しい商品を開発したい、映画を撮りたい、でも資金がない・・。という個人、法人がその作品に興味を持つ方々(ファン・パトロンと呼びます)からお金を集める方法です。新しい資金調達の方法として、認知度が高まっています。
 
クラウドファンディングには、資金調達以外にももう一つマーケティングの要素があります。
新しい商品を作る前に、その商品は市場に受け入れられるか、興味を持ってもらえるか、の判断材料になるのです。しかも、ファンとなった方々がFacebookやTwitterでリンクを張ってくれたら、何千何万の方々の目に触れることになります。たとえ目標金額に届かなくても、宣伝効果は高いと言えるでしょう。
 
 
では、どこのクラウドファンディングのサイトを利用すればいいでしょうか。
人気のあるクラウドファンディングは以下の3社です。
・READYFOR? (レディーフォー) https://readyfor.jp/
・CAMPFIRE(キャンプファイヤー) http://camp-fire.jp/
・ShootingStar (シューティングスター) http://shootingstar.jp/
 
他にも調べれば幾つも出てきます。
しかし、普通は1社にしか、登録することはしません。どこがいいのか、悩みます。
実は私のクライアントが今度クラウドファンディングを利用するに当たり、調査してみました。
 
調査方法は以下の通り。
・50人以上のファンが付いているプロジェクトの数
・100万円以上調達しているプロジェクトの数
・ファン(パトロン)の増加率
 
この基準で1週間Watchしてみました。詳細なデータは割愛しますが、結果、READYFOR? (レディーフォー)に軍配が上がります。サイトの構成や、見栄えなどは他社に譲るものの、実際の資金調達力は突出しています。現在、さらに”新商品(プロダクツ)”、”音楽”、”映画”、といった分野別でどのサイトがベストか、追加で調査中です。
この場合、READYFOR? (レディーフォー)とならない可能性もあります。皆様のクライアントが利用したい、とおっしゃった場合にご参考にして頂ければと思います。
 
次回は私のクライアントと現在準備をしているプロジェクトについて、具体的な進め方についてご紹介します。